捻挫はスポーツや日常生活でよく起こる怪我ですが、適切なケアを行わないと後遺症が残ることがあります。痛みや腫れ、可動域制限など、捻挫後遺症に悩む方は少なくありません。本記事では、捻挫後遺症の原因、症状、ケアの方法などについて詳しく解説し、根本的な解決を目指します。
記事監修者から一言
トリニティカイロプラクティックの吉野です。私は、2万5千件以上の方にカイロプラクティックケアを行ってきました。「昔の捻挫がなかなか良くならない」「痛みはないけれど、なんとなく違和感が残っている」――そんなお悩みを抱えている方は意外と多いものです。捻挫は一見すると軽いケガに思われがちですが、正しくケアされないまま放置してしまうと、関節の不安定さや慢性的な痛み、身体のバランスの崩れといった“後遺症”につながることもあります。
この記事では、捻挫後に起こりやすい後遺症のメカニズムと、その根本的な改善に向けたカイロプラクティック的アプローチについて、わかりやすくご紹介しています。過去のケガが今の不調につながっているかもしれない…そんな気になる症状をお持ちの方は、ぜひ最後までご覧ください。
主な資格
応用理学士(医科学)
Bachelor of Applied Science(Clinical Science) -Australia-
カイロプラクティック理学士
Bachelor of Chiropractic Science -Australia-
捻挫後遺症とは?放置するとどうなる?
捻挫後遺症の定義と症状
捻挫後遺症とは、捻挫をした後に適切なケアを受けなかったり、靭帯や関節などの組織が完全に回復しなかった場合に生じる症状のことです。具体的には、捻挫をした箇所に慢性的な痛み、腫れ、関節の不安定感、可動域の制限などが現れることがあります。これらの症状は、日常生活における歩行や階段の上り下り、スポーツなどの活動を行う上で大きな支障となる可能性があります。
捻挫後遺症の症状は、人によって様々であり、痛みの程度や関節の不安定感も異なります。軽度の場合には、少し動くと痛みを感じる程度ですが、重度の場合には、安静にしていても強い痛みを感じたり、関節がグラグラして歩行が困難になることもあります。早期に適切なケアを行わないと、症状が慢性化し、日常生活に大きな影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。捻挫をした際には、自己判断せずに専門家に相談することが大切です。
後遺症を放置するリスク
捻挫後遺症を放置すると、様々なリスクが生じます。まず、慢性的な痛みが持続し、日常生活の質が著しく低下する可能性があります。痛みをかばうことで、他の関節や筋肉に負担がかかり、新たな痛みや不調を引き起こすこともあります。また、関節の不安定感が悪化し、再捻挫のリスクが高まります。再捻挫を繰り返すと、関節軟骨が損傷し、関節の変形へと進行する可能性もあります。
さらに、捻挫後遺症が長引くと、精神的な負担も大きくなります。慢性的な痛みや運動制限により、趣味やスポーツを楽しめなくなったり、仕事に集中できなくなることがあります。その結果、抑うつ状態になったり、社会生活から孤立してしまうこともあります。捻挫後遺症は、放置せずに早期にケアを開始することが重要です。専門家の評価を受け、適切なケアを行うことで、後遺症のリスクを最小限に抑えることができます。
足根洞症候群との関連性
足根洞症候群は、足首の外くるぶしの下にある足根洞という空間で、神経や血管が圧迫されることで起こる症状群です。捻挫後遺症との関連性も指摘されており、捻挫による足首の不安定性や炎症が、足根洞内の神経や血管を圧迫し、足根洞症候群を引き起こすことがあります。
足根洞症候群の主な症状としては、足裏や足首の外側の痛み、しびれ、感覚の異常などが挙げられます。これらの症状は、歩行時や立ち仕事の際に悪化することが多く、日常生活に支障をきたすことがあります。捻挫後遺症に加えて、足裏や足首の痛みやしびれを感じる場合には、足根洞症候群の可能性も考慮し、専門家の評価を受けることが重要です。足根洞症候群のケアには、様々ありますが、症状や原因に応じて適切なケアの方法が選択されます。
捻挫後遺症の原因を徹底解剖
初期対応の不備
捻挫の初期対応における不備は、後遺症を引き起こす最も一般的な原因の一つです。捻挫が発生した直後には、RICE処置と呼ばれる応急処置が非常に重要になります。RICEとは、Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字を取ったもので、これらの処置を適切に行うことで、炎症や腫れを最小限に抑え、組織の回復を促進することができます。
しかし、実際には、痛みを我慢して無理に動いたり、冷却や圧迫が不十分だったり、専門家に相談せずに自己判断で放置してしまうケースが少なくありません。初期対応が不十分だと、靭帯や関節包などの組織が適切に修復されず、関節の不安定性や慢性的な痛みが残る可能性があります。捻挫をした際には、自己判断せずに、できるだけ早く専門家に相談し、適切な初期対応をすることが大切です。
体操の不足
捻挫後の体操の不足も、後遺症を引き起こす大きな原因となります。痛みや腫れが引いたからといって、すぐに元の生活に戻ってしまうと、関節の可動域や筋力が十分に回復せず、再捻挫のリスクが高まります。体操は、関節の可動域を広げ、筋力を強化し、バランス感覚を改善することを目的として行われます。
具体的には、ストレッチや筋力トレーニング、バランストレーニングなどを行います。これらの体操を継続的に行うことで、関節の安定性が向上し、再捻挫を予防することができます。体操は、専門家の指導のもとで行うことが望ましいですが、自宅でもできる簡単なエクササイズもあります。例えば、アキレス腱伸ばしやタオルギャザー、足首回しなどは、自宅で手軽に行えるリハビリテーションです。
潜在的な骨折や靭帯損傷の見落とし
捻挫の中には、靭帯の部分断裂や骨折を伴っているケースがあります。特に、強い衝撃が加わった場合や、関節に強い力が加わった場合には、注意が必要です。これらの損傷が見過ごされた場合、適切なケアが行われず、後遺症のリスクが高まります。
捻挫後遺症のケアの方法と体操
痛みと炎症のコントロール
捻挫後遺症のケアは、痛みや炎症をコントロールし、症状の緩和を目的とします。具体的には、物理的な方法があります。例えば、アイシングや温熱療法などを行い、炎症を抑え、血行を促進します。
この方法は、症状の程度や個人の状態に合わせて行われます。軽度の症状の場合には、これらの方法で症状が改善することがありますが、重度の症状の場合には、専門家によるケアが必要になることもあります。
運動:可動域と筋力の回復
運動は、関節の可動域を広げ、筋力を回復させることを目的とします。捻挫後遺症では、関節の可動域が制限されたり、足首周りの筋肉が弱くなったりすることがあります。運動療法では、これらの問題を改善するために、ストレッチや筋力トレーニングを行います。
ストレッチでは、アキレス腱や足底筋膜などを伸ばし、関節の柔軟性を高めます。筋力トレーニングでは、足首周りの筋肉を強化し、関節の安定性を高めます。具体的には、カーフレイズやタオルギャザー、バランスボードなどのエクササイズを行います。これらの運動は、専門家の指導のもとで行うことが望ましいですが、自宅でもできる簡単なエクササイズもあります。運動を継続的に行うことで、関節機能が回復し、痛みが軽減されます。
セルフケアでできること
自宅でできる簡単エクササイズ
自宅でできる簡単なエクササイズは、捻挫後遺症の症状を緩和し、再発を予防するために効果的です。アキレス腱伸ばしは、ふくらはぎの筋肉をストレッチし、足首の柔軟性を高めます。タオルギャザーは、足指の筋肉を鍛え、足裏のアーチをサポートします。足首回しは、足首の関節を滑らかにし、可動域を広げます。
これらのエクササイズは、痛みを感じない範囲で、ゆっくりと行うことが大切です。毎日継続的に行うことで、効果を実感することができます。また、入浴後や運動前など、体が温まっている状態で行うと、より効果的です。エクササイズの際には、無理をせず、痛みを感じたらすぐに中止するようにしましょう。
インソールやサポーターの活用
インソールやサポーターは、足への負担を軽減し、痛みを和らげる効果があります。インソールは、足裏のアーチをサポートし、衝撃を吸収します。足のアーチが崩れていると、足底筋膜炎や外反母趾などの原因となることがあります。適切なクッション性のインソールを使用することで、これらの症状を予防することができます。
サポーターは、足首を固定し、関節の安定性を高めます。捻挫後遺症では、足首の不安定感が残ることがあります。サポーターを使用することで、足首を保護し、再捻挫のリスクを軽減することができます。インソールやサポーターは、様々な種類がありますので、専門家のアドバイスを受けながら、自分に合ったものを選ぶようにしましょう。
生活習慣の見直し
生活習慣の見直しも、捻挫後遺症の改善には欠かせません。長時間の立ち仕事や歩行は、足に大きな負担をかけます。できるだけ、こまめに休憩を取り、足を休ませるようにしましょう。また、肥満は足への負担を増やすため、体重管理も重要です。
バランスの取れた食事を心がけ、適度な運動を行い、健康的な体重を維持するようにしましょう。さらに、喫煙は血行を悪化させ、組織の修復を遅らせるため、禁煙することも大切です。生活習慣を見直すことで、足への負担を軽減し、捻挫後遺症の改善を促進することができます。
まとめ:早期対応と継続的なケアが大切
捻挫後遺症は、適切なケアを怠ると、慢性的な痛みや関節の不安定性を引き起こし、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。早期に専門家に相談し、適切なケアを受けることが重要です。また、ケアの後も、体操やセルフケアを継続的に行うことで、再発を予防し、関節機能を維持することができます。
自宅でできる簡単なエクササイズや、インソールやサポーターの活用、生活習慣の見直しなども、症状の緩和や再発予防に効果的です。捻挫後遺症に悩んでいる方は、諦めずに、専門家のアドバイスを受けながら、積極的にケアに取り組んでいきましょう。早期の対応と継続的なケアによって、快適な日常生活を取り戻すことができます。